IT企業はIT関係の学歴や、IT関係の経験が無くても活躍している方の多い職種ではないでしょうか?
一言でIT業界といっても、インターネット上のWebアプリケーション開発に携わる人、コンビニのレジやATMなど制御系ソフトウェアの開発に携わる人、会社のお金の流れを管理するERPソフトウェアの開発に携わる人、IT業界の仕事は様々であり、それぞれの業界に求められる技術スキルは全く異なります。
本記事では、未経験の方がIT業界に就職・転職する場合に必要となるスキルや資格について説明します。
また、採用経験者として惹かれる志望動機について例を挙げて説明します。
技術スキルと資格について
先に説明した通り、勤める業界により、必要な技術スキルは全く異なります。
あなたがどの様なエンジニアになりたいのかが明確であれば、当然そのスキルを補完する資格を学ぶことをお勧めします。
Webアプリケーションを開発したいのであれば「PHP」や「HTML5」等の技術資格、データベースに強くなりたいのであれば「Oracle Master」や「Microsoft SQL Server MCSA」等の資格、ネットワーク・エンジニアになりたいのであれば、シスコ社の「CCNA」などが該当します。
さらに、最近の動向として明らかにニーズが高まっているのは、セキュリティに関する技術です。
セキュリティに関する資格である「情報セキュリティスペシャリスト」等を保有していれば、就職も転職も相当有利になることは間違いありません。
しかしながら、これら資格はIT未経験者には、かなり敷居の高いものになると思います。
どんな会社でも通用する技術資格となれば、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が運営する情報処理技術者資格の内、「基本情報技術者」の資格取得をお勧めします。
基本情報技術者資格は国家資格で有り、IPAが提供する国家資格の基本となる資格です。
働きたい業界が明確に定まっていない方は、基本情報技術者資格の取得をお勧めします。
IT関連の資格は、受験費用も安くはないので、就職後に学び続けて資格を取得する場合、会社側が受験費用を援助してくれる会社も多い様です。
まずは初級の資格を取得したうえで、「就職後にも自分の技術スキルを磨き、様々な資格を取得したい」というコメントは、早い技術の流れに追いついていかなければならないIT業界では採用を引き出す良い志望動機になるでしょう。
志望動機の例①
前職である企業に勤務しながらの独学は楽なものではありませんでしたが、その甲斐あってCCNA資格を取得することができました。
私の知識は机上で得たものですので、ぜひ御社に就職できた際には、諸先輩方の現場のスキルを学びながらさらに技術スキルに磨きをかけ、学び続け、より高いレベルのエンジニアを目指します。
業務スキルと資格について
転職者に私がお勧めするのは、ある業務ノウハウに強いITエンジニアへの転職です。
例えば、医療事務のノウハウを有した人が、医療事務ソフトウェアの開発や販売を行っているIT企業に転職するといった事例です。
業務ノウハウの習得には、各社技術スキルの習得と同程度のコストをかけて社員に学ばせています。
このため、業務ノウハウは即戦力にもなりますし、転職してからのアドバンテージも大きいです。
その他、金融知識や、介護事務の知識、建築系の施工管理の知識や、自治体業務の知識など、あらゆる業務にITシステムが欠かせない現代ですから、あらゆる業務ノウハウが武器になります。
あなたの会社で使用しているシステムを販売しているメーカーや、導入をサポートしてくれる保守ベンダーについて調べてみると、良い転職の糸口になるかもしれませんね。
志望動機の例②
この中で御社が販売しているソフトウェア製品も使用しておりました。
私が処理について分からず、御社のヘルプデスクに問い合わせたところ、優しく丁寧にシステムの操作方法について教えて頂きました。
私自身もこのような、介護の現場で困っている多くの方を助けることができる、サポートエンジニアとして働きたいと決意しました。
私は約3年間、介護保険の現場で働いて参りましたので、現場のノウハウには自信があります。
私の持つノウハウをフルに活用し、御社のシステムの拡販にお役に立つ決意です。
技術スキルも業務スキルも無い場合には
技術スキルも業務スキルも持っていない場合は、転職先企業への情熱と人間力で戦いましょう。
皆さんが考えるより会社が大切にしているのは愛社精神です。
「会社のために身を粉何して働きます」という自己犠牲の精神ではなく、転職先企業についてリサーチし、何故他社ではなくこの会社に就職したいのか、具体的な事例を出すと良いでしょう。
志望動機の例③
同業他社のシステムでは豊富な機能ばかりが前面に打ち出されていますが、御社のシステムではユーザビリティを大切にしている姿勢が明確になっており、現場のお客様のためのシステムであるというメッセージを強く感じます。
この考えは私が今までに携わってきた仕事における考え方と方向性が一致します。
今までもお客様の声から真のニーズを引き出し、私のチームの販売実績を底上げしてきた実績は、御社のシステム開発にもお役に立てると信じています。
また、昨今のIT企業では昔に比べてプログラミングにかける時間は大きく減っています。
今のIT企業が欲しがるのはプログラムが書ける人材ではなく、お客様の要件を聞きだせる人材、お客様の課題を発見できる人材、チームを動かして行動できる人材に変わってきています。
こういった人材は非常に不足していますので、人と接することが得意な方はこれを押してみるのも良いと思われます。
志望動機の例④
保険のセールスの仕事は、お客様とのお話の中から真のニーズを把握する事が非常に大切です。
お客様のライフプランにおける課題を見つけ、保険というツールを用いて、お客様の課題を解決する事は、IT企業におけるソフトウェア開発の姿と一致する様に思えます。
私はIT関係の仕事は未経験ですが、お客様のニーズを聞きだして解決する力、前向きな雰囲気を作り出し、チームを動かす力には自信があります。
その他のスキル
これは筆者が実際に新人の採用面接をしていた時に感じた事例です。
面接では「今まで経験した壁」について聞くようにしていました。
ここで「今まで壁に当たったことはありません」などと答える方は最低点です。
むしろ、具体的な事例を出しさらに壁を乗り越えられず苦労したような失敗談が聞けたら良い配点を付けていました。
お客様のニーズを引き出せる方は、お客様の気持ちを理解し、お客様の立場で課題を課題と捉えられる人です。
失敗した経験の少ない人は、お客様の失敗談からニーズを引き出すことができないように思います。
この様な理由より、壁にぶち当たった人、壁を越えられない経験をした人に少しだけ良い配点を付けていた経験があります。
こういった所は、面接官の主観が大きくかかわってきますが、「自分はスゴイ!」というアピールをするよりも、失敗談でも明るく話せてしまう様な人柄に人気が集まる様な気はします。
まとめ
以前本サイトの「人材育成とは何か?目的と効果的なOJTの進め方や人材育成の方法」という記事で、社会人に必要なスキルセットとして「社会人基礎力」を紹介しました。
就職や転職においては、どうしてもその会社の即戦力になるアピールをしようと考えてしまいますが、皆さんを採用する企業側のニーズは違います。
即戦力になることよりも、将来性を重視して採用の判断をしています。
企業が1人の新卒者を採用し、研修の機会を与えて、普通に仕事ができる様にするまで、一般的に約1千万の費用を投入すると言われています。
「社会人基礎力」における3つの能力である「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」が高い人材を確保したいと企業は考えるはずです。
志望動機を悩む前に、まずは自分磨きを始めましょう。
学生なら苦労を買ってでもして、積極的に様々な経験をすべきです。
転職者なら今の仕事で成果をきちんと残し、離職を惜しまれる人材になってから転職する事です。
かくいう私も、実は転職経験者です。
私は「今の会社を嫌でやめる事だけはしない。新しい環境で羽ばたくために転職しよう」と思い続けて転職に成功しました。
転職したことに全く後悔はありません。
この記事を読んだ皆さんが、今の環境から逃げるのではなく、新しい明るい人生をつかみ取るために、有意義な就職・転職をして頂けたらと、心から願います。