コンサルタント業の中でも、人気の高い業種の一つが戦略コンサルタントです。
外資系が多いので外資系コンサル(コンサルティングファーム)などとも呼ばれます。
非常に人気の職種であり、新卒であれば倍率100倍を超える狭き門です。
こうした戦略コンサルに未経験でも転職できるコツをお教えします。
前の業界でのスキルや知識を生かす
戦略コンサルにおいて、前の業界でのスキルは生かせるのでしょうか?
これは十分に生かせると考えても良いです。
戦略コンサルにおいては、いくつかのミッションを短期間に少人数で遂行するのが基本です。
そして、そのミッションは、いくつかの業界ごとに区分されているユニットにおろされます。
もちろん、ユニット横断的にプロジェクトが組まれる事もありますが、自分のこれまでの業界経験を大いに生かすプロジェクトが来る事も多いと考えてもよいでしょう。
また戦略コンサルにおいては、どちらかというと経営層に近い部署(財務・法務・企画・戦略)からの転職が多い傾向にありますが、末端の営業や製造、研究開発でも恐れる事はありません。
戦略コンサルにおいては、ヒアリングやデータ(数値)から事実を積み上げてゆきますが、その勘所やその業界特有のしきたり、空気感を読むのはむしろ末端にいた人の方がするどい事も多いでしょう。
戦略コンサルにおいて、新卒と中途ではどちらが有利か?という疑問は良く見受けられます。
これは、一概には言えない部分もありますが、やはりその業界で働いた経験は、その人しか持っていない「強み」という言い方ができると思います。
ただ、新卒でも中途であっても大事なのは、自分の経験やスキルなどを、どのようにコンサルタント業務に生かしてゆくか?というアイディアと構想力です。
この辺は、もちろん面接でも聞かれますので、しっかり考えておくようにしましょう。
体力・精神力を鍛えておこう
戦略コンサルティングでの仕事は、スマートなイメージとは異なり、かなりのハードワークです。
それは、体力面・精神面両方においてです。
まず、体力面ですが、コンサルタントの仕事は、ある程度短期間での成果(問題点の抽出、課題への処方箋)が求められます。
つまり締め切りがきっちり決まっており、それまでに報告書・プレゼン資料などをそろえ、顧客の報告するのが基本です。
そのため、締め切り前はかなりのハードワークとなります。
徹夜が何日も続くという事も覚悟しておいた方がよいでしょう。
外資系は、成果さえ出ていれば比較的時間の制約は少ない方ですが、その代わりいざというときは、体力勝負になりますので、十分備えておきましょう。
また精神面でもかなりつらい事もあります。
顧客がコンサルタントに依頼してくるのは、何か問題があるためです。
その問題となる箇所(部署)の改善は、大規模な配置転換やリストラなどの大ナタが振られる事もあります。
こうした時、客観的判断材料として、コンサルタントに入ってもらう、ということがあります。
こうした場合、当該社員への聞き取り(ヒアリング)をしたり最終プレゼンを行うということがあり得ますが、どうなるか想像できるでしょうか?
「外部からやって来て、えらそうにしやがって・・こいつらに何が分かるのか。リストラされてたまるか!」みたいな、どす黒い感情がわき上がってる事は容易に想像できます。
実際の最終プレゼンでは怒号が飛び交う・・などということも実際あるようです。
このように、スマートなイメージとは異なり、かなり精神面でも耐久性が要求されます。
顧客の経営判断(それもネガティブな)に影響と与えるという行為は、もちろんロジックや論理的思考からはじき出すのですが、実行にあたっては、多くの感情や実際多くの方の人生を左右するのだ、ということは覚悟しておいた方がよいでしょう。
もちろん、自分は正しい判断を提示した、という気概を持ってのぞんで欲しいと思います。
独特の筆記・面接試験を知って備える
戦略・外資コンサルタントの採用試験は独特の形式があります。
ある程度「慣れ」が必要な部分もありますので、事前に知って備える事は必須です。
フェルミ推定
フェルミ推定は、ざっくりとした数や規模を推論から組み立ててゆく論理的思考を問う試験です。
例えば、「東京都にはどのくらいのピアノの調律師がいると考えますか?」というような質問が来て、面接の場合であれば、少し時間を与えられた後、口述で答えます。
試験のポイントは、数は正解でなくてもよいのですが、どのように推論を論理的に組み立てたか?というプロセスが問われる試験です。
このケースの場合、まず調律するためにはピアノがなくてはなりませんので、ピアノの数を推論します。
ピアノの数は、ピアノを販売している会社の売上げなどから推計してもよいですし、ピアノ教室の数から類推するなんてのも面白いかもしれません。
そして、調律師としてやっていくために、毎年何件ぐらいこなせばよいのかなどからおおよそピアノ市場が許容できる調律師の数が推計できる事でしょう。
どちらにせよ大事なのは、面接官を説得できるだけの論理的構成が成されているか?が勝負の鍵になります。
ケースインタビュー
戦略コンサルの採用試験において、最も重要な試験といってもよいでしょう。
実際のケースが出てきてどのような戦略を組み立てるか?を問われる問題です。
「○○というデパートの売上げを1年後倍増させたい。」
「日本が4年後のオリンピックで金メダルを倍に増やしたい。どうすればよいか?」
といった感じです。
要点はいくつかありますが、まずはおおざっぱな質問が多いので、条件を色々限定させることが必要になります。
デパートのケースであれば、都心なのか郊外なのか、駅近なのか?などです。
問題に入る前の前提条件が適切でないと、あとで収集がつかなくなります。
次に、課題を見いだし、解決策を提示しますが、もちろんいくつかの課題とその解決策が出てくると思います。
その際重要なのが、重要度、効果の程度、リスクなどを勘案して、優先度を決めておくということです。
最後に、ありきたりの回答では面接官はあまり喜びません。
自分なりの特異性やスキルで面接官を「お、これは・・」と思わせるようにケースインタビューを進めてみましょう。
ケースインタビューは、もちろんある程度慣れも必要ですので、事前に模擬試験などもやって十分準備しておけば、まずは最低限のラインまでは到達できる事になります。
論理的思考やプレゼン能力を向上させよう
戦略コンサルタントの最終的な商品はなんでしょうか?
それは、課題解決の方策が書かれた報告書あるいはプレゼンになります。
ですので、プレゼンが下手な人が戦略コンサルタントになるという事はあり得ません。
そういった意味では、面接でもその点が当然審査されます。
プレゼンが苦手という人は、ぜひ普段から心掛けてプレゼン能力を改善させましょう。
様々な技法やノウハウは、本がたくさん出ていますので買って勉強するとよいでしょう。
実践編としては、ぜひ現在の会社の会議を利用してみましょう。
これまでのプレゼン資料は、ダラダラ売上げが書いてあるだけで、注目点・課題をすっきりまとめられていますか?あるいは、それを具体的に解決するための手段が、提示されていますか?など、見直す部分は多々あると思います。
また、論理的思考についてもしかりです。
ぜひ現在の会社の課題について、論理的思考のトレーニングをしてみましょう。
まず、自社の○○商品について、市場規模を算出、シェアの算出などを具体的事項からフェルミ推定をしてみてください。
もし、まだ市場規模やシェアに伸びしろがあるとすれば、今後どのように売上げを上げてゆけばよいか、経営者になったつもりで戦略を練ってみましょう。
ある程度戦略ができたら、パワーポイントにプレゼン資料として作ってみるのもよいでしょう。
戦略コンサルになるために、MBAを取得したり、経営学のスクールに通ったりする方も多くいます。
もちろん、それはそれで有益ですが、まず自分の会社をどうすれば良いか、戦略を練ってみるのがもっとも効果的な「ケースインタビュー」訓練ではないでしょうか?
転職エージェントを活用しよう
戦略コンサルタントへの転職をしようと思う方は、ぜひ転職エージェントを活用してみましょう。
戦略コンサルは独特の試験方法でかつ転職企業も限られています。
また、非常に多くの方が試験に臨む狭き門でもあります。
そうした場合、自分のスキルで本当に大丈夫なのか、大丈夫では無いのであればどのようなスキル(面接試験対策も含め)を向上させればよいのか、などを客観的に判断してくれます。
また、ケースインタビューなどについては、模擬試験なども含めエージェントの方で手配してくれたり、スキル向上のためのアドバイスなどもしてくれる事でしょう。
最近は、コンサルタント業専門の転職サイト(会社)や、大手の高収入・ハイスペック求人を取り扱う専門転職エージェントも増えてきました。
ぜひ、そういった転職サイトなり転職エージェントを利用する事をぜひお勧めします。
面接官に響く志望動機とは?
戦略コンサルの面接試験というと、先程記述した「ケースインタビュー」を思い出しがちですが、通常の面接試験の項目もあります。
それは、「志望動機」「自己分析」「現在の会社を辞めた理由」などです。
特に「志望動機」は必ず聞かれますので、事前に十分準備しておきましょう。
ただ、ありきたりの「志望動機」では間違いなく落とされてしまいますので、他人との差別化を図る必要があります。
もっとも簡単な方法論は、自分のいた業界についての問題点や課題などから、その課題をどのようにコンサルティング業界で解決していきたいのか?という視点でしょう。
これでしたら、今の業界がいやで辞めたわけではない、というアピールになりますし、普段からそういった問題意識を持って仕事をしていたという事になりますので、アピール度は高いでしょう。
面接官は、多くの方と面接をしていますので、ありきたりな志望動機はすぐ忘れ去られ印象に残りません。
ですので、自分の業界の課題点をコンサルタントになったらどのように解決していくのか、具体的な事例を述べてみましょう。説得力がかなり増します。
ただし、注意点としては、あまり専門分野に特化しすぎると融通が効かない人、というイメージを与えかねませんので、あくまで事例提案として、コンサルタント業の普遍的な部分にも焦点をあててみましょう。
また、当然のことですが、自分都合な「志望動機」はあまり好ましくありません。
「年収が高いから」「スマートなイメージだから」などは問題外になります。
戦略コンサル、外資コンサルへの転職は、事前準備が必須です。
戦略コンサルは、スマートでかっこいいイメージがありますが、実際はかなりのハードワークです。
また、転職においてはかなり事前の準備が必要です。
ですが、戦略コンサルでの経験はとても有益で、その後のキャリアアップにもよい影響を与えます。
ぜひ、転職エージェントとタッグを組み、戦略・外資コンサルへの転職を成功させてください!