人間関係に悩んでいない会社員などこの世に1人もいないと私は20年を超える会社生活で、そんなことを感じています。
人によって悩みの大きさは違うでしょうが、会社を本気で辞めたいとまで、思い詰めている方も少なくないと思います。
特に新入社員など、若いころは人間関係に、本気で悩むことが多いと思います。
中には人間関係がきっかけで、会社を辞めてしまう人も多いようですが、非常にもったいと思ってしまいます。
筆者の別の記事「ブラックIT企業の見分け方5つ」に示したような状況の会社でない限り、自分の行動を少し変えるだけで改善できる可能性があります。
もちろん、人間関係に万能薬は無いのですが、人間関係に悩む方が1人でも減る事を願い、職場で上手く立ち回るためのコミュニケーション方法をまとめます。
ホウレンソウを徹底しよう
「ホウレンソウを徹底しよう」などと書くと、「なあんだ、いつものヤツか」などというため息が聞こえてきそうですが、今一度「何故ホウレンソウが必要なのか」について、考えてみてください。
「報告」は何故必要か?
「報告」とは仕事の経過や結果を伝える事です。
上司や先輩は、あなたの仕事を管理する事が仕事です。
当然、あなたの先輩や上司は、そのさらに上の上司や先輩から「報告」を求められています。
あなたの上司がその上司に行う報告の中には、部下であるあなたの仕事の経過や結果も当然ながら含まれるのです。
あなたが「報告」をしないことは、あなたの勝手ではありません。
会社全体の情報マネジメントにも影響を及ぼしかねない事なのです。
「連絡」は何故必要か?
「連絡」は今後の仕事についての情報を伝える事です。
仕事でミスをせず成果を上げるためには、その仕事に対する「情報」がとても大切です。
「この様な予兆があった時は、この様な事が起こる」、「この様な状況に陥った場合は、こういう方法で対処すればよい」こういった情報が前もって分かっていれば、仕事のミスも減りますし、効率も上がりそうですよね。
この様な情報の事を「ノウハウ」と呼びます。
では質問ですが、あなたのその仕事の「ノウハウ」は誰が持っていますか?
あなたにその仕事を指示した先輩や直属の上司では無いですか?
「連絡」を徹底して情報をきちんと先輩や上司に集めておく事は、あなた1人の小さな仕事ではなく、大きな全体の仕事を成功させるために、どうしても必要な行動なのです。
「相談」は何故必要か?
「相談」は問題解決のために話し合ったり、意見を聞いたりする事です。
「仕事とは問題解決の繰り返しである」と良く言われます。
では、問題解決を最も効率的に行える人は、どういう人ですか?
問題解決を最も適切に迅速に行える人は、その問題と同じ問題、もしくは似たような問題を解決した経験がある人です。
似たような問題を解決した経験のある人とは、あなたにその仕事を指示した先輩や直属の上司では無いですか?
つまり、「相談」を適切に行えないということは、会社が行うべき問題の解決を遅くし、仕事自体の効率を落としてしまっている事に他ならないのです。
ホウレンソウを徹底しよう
この様に、ホウレンソウがあなたのためのものではなく、会社という組織活動に必要不可欠なものであることをご理解いただけたでしょうか?
ホウレンソウが適切に行える部下は、信頼度もアップするので上司は安心して仕事を任せられます。
すると、その次には大切な仕事も任されるようになります。責任のある仕事も与えられるようになるはずです。
この様に、ホウレンソウから、充実した仕事のサイクルが生まれるのです。
「ホウレンソウなんて面倒くさい」と基本から手を抜いてしまう事は、あなたにとって本当にもったいない事なのです。
ホウレンソウのやり方を工夫しよう
ホウレンソウを徹底することと併せてぜひ考えて欲しいことは、ホウレンソウのやり方の工夫です。
上司の忙しい時の相談は避ける、短い時間で報告するために事前に内容をまとめてから話すなど、様々な工夫が書籍やWebサイトに溢れていますので、参考にしましょう。
その中でも特に私がお勧めする、ホウレンソウを行う際に上司の好感を得る1つのコツは、情報を伝達する媒体を上手に使い分けることです。
例えば会議前で忙しそうな上司をつかまえてその場で緊急度の低い「報告」をしたとします。
それにより、上司の思考を遮り、今やろうとしていた仕事の手を止めさせてしまいました。
「その報告は、今ここですべき事か?」なんて、逆に怒られてしまうかもしれませんね。
もう1つ、お客様を怒らせてしまった場合の対処方法など緊急性の高い「相談を」のんびりとメールで報告したとします。
上司はメールですので、後で時間のある時に確認ができますが、メールを読むまではその緊急性の高い問題を把握する事はできません。
「何で直ぐに相談しなかったんだ!」なんて怒られてしまうかもしれませんね。
ちゃんとホウレンソウしているのに、怒るなんて、ひどい上司でしょうか?
先の例の場合は、上司が後で時間があるときに確認できるメールや報告書などの媒体で、ホウレンソウすべきでしょう。
後の例の様な緊急性の高い場合は、電話や直接話す等でホウレンソウすべきです。
緊急度に応じた適切なホウレンソウには、相手に対する「思いやり」と、話す、電話する、メールするなど、情報伝達の媒体のメリット/デメリットを上手に使い分けたホウレンソウが大切です。
好感を持たれるように努力しよう
会社生活の基本は、人と人とのコミュニケーションです。
同期にも先輩にも上司にもお客様にも、好感を持たれた方が当然ながら得をします。
上司に好感を持たれる新入社員の条件は、以下の3つと言われています。
「元気が良い」こと。笑顔で挨拶ができ、元気の良い返事ができるだけで、人の印象は良くなります。
「礼儀正しい」こと。お礼がきちんとできる等、社会人としてのマナーが守れる人は、やはり好感度が高いものです。
「協調性・積極性がある」こと。協調性を持ちながら、積極的に仕事に取り組める人も好感度が高いです。
自分から質問をしてくれる人、普段の会話からきちんとした受け答えができる人、こういう態度が先輩からの好感を得ます。
「先輩とコミュニケーションを取りたい」姿が大切
良く人間関係に悩んでいる新入社員に、「自分は雑談とかが下手なので先輩に好かれない」と言う人がいます。
確かに「雑談力」という言葉があるくらいなので、雑談が上手いにこしたことは無いのですが、それよりも大切なことは、「私は先輩とコミュニケーションが取りたいです」という姿です。
例えば、先輩と電車に乗った時、少々失礼が有ったとしても「先輩からいろいろ聞きたい」という態度の人と、携帯ばかりを見て一言も話しかけてこない人の、どちらに好感が持てるでしょうか?
「人と話すことは苦手です」という人も多いのかもしれませんが、新入社員になった時こそ、自分を変えるチャンスです。
好きな自分になるために、少し勇気をもって自分を変えてみましょう。
自分の窓を開こう
皆さんは「ジョハリの窓」という理論をご存知でしょうか?
ジョハリの窓では、自分について、自分が知っている自分と、他人が知っている自分を組み合わせて次の4つの窓に分けま
②盲点の窓(blind self):他人は知っているが、自分は知らない自分
③秘密の窓(隠された自己、hidden self):自分は知っているが他人は知らない自分
④未知の窓(unknown self):自分も他人も知らない自分
この「解放の窓」が広がった状態が、「円滑なコミュニケーションが取れている」状態を示すのですが、図を見て頂いてもわかるように、「解放の窓」を広げる方法は2つあります。
1つは他人の情報を聞き入れること、もう1つは自分の情報を相手に伝えること、すなわち「自己開示」です。
自分のことを秘密にしていては、コミュニケーションは開けてきません。
仕事とは関係の無い趣味の話でも、好きなプロ野球チームの話でも、何でも良いのです。
自分のことを知ってもらう、相手の事を知る、その両方をバランスよく組み合わせることで、コミュニケーションは活性化するはずです。
最後に
長年会社員として人付き合いを重ねてきた、筆者の個人的な意見ですが、結局人は「自分を好きだと思ってくれる人を好きになる」のではないかと感じています。
これは、恋愛感情とかそういうことではなく、会社生活という長い時間を共に過ごし、何よりも信頼関係がモノを言う環境において、相手の事を思う「思いやり」が如何に大切であるかということでは無いかと思っています。
会社生活は、過ごす時間から考えても人生の重要な一部である事は間違いありません。
嫌な先輩もいます。
反りの合わない上司も居ます。
むしろ仕事に一生懸命で有ればこそ、意見が常に一致する上司や先輩など存在しないものです。
仕事をしていれば、何度も本気で先輩や上司と衝突する事があるでしょう。
ですが、むしろそうであるべきだと筆者は思うのです。
そんな中で、先輩や上司との信頼関係があれば、衝突後の数日は気まずい空気が流れても、必ず元の良い空気が戻るものです。
そのためには、先輩や上司の尊敬できる部分を見つけ、認め、相手を好きでいる事が秘訣では無い課かと思います。