IT企業といえば、「きつい」、「帰れない」、「給料が安い」の3Kの仕事と言われていました。
その反面、ソフトバンクの孫正義さんや、楽天の三木谷浩史さんのように、誰もが憧れる「IT長者」も存在しています。
いったいIT企業の企業は本当に3Kなのか、地方独立系IT企業の社員である筆者が、現場で感じている最近の「IT企業事情」をお伝えします。
IT企業の仕事は辛いか?
ひと昔前のIT企業は、かなり労働事情が悪い会社が多かったように思います。
実際、筆者も若いころは「今日で3徹(三日三晩寝ずに仕事をすること)だよー」などと徹夜自慢をしたものです。
「家に帰ったら朝刊が届いていた」なんて笑えない状況が何カ月も続いたこともあります。
ところが、ここ数年はめっきり落ち着いていて、仕事で徹夜することなど皆無です。
IT企業の労働条件は、この10年でかなり労働条件が改善されてきたと言えます。
とはいえ、他業界に比べ残業が多く「長時間労働があたりまえ」という雰囲気も残っています。
今の35歳オーバーの管理職の方々は、10年前に「死ぬほど働いていた」方たちですから、どうしても「仕事の遅れは残業で取り戻す」という気持ちが抜けないのでしょう。
22時を超えても当たり前のように仕事をしている年配者が多いのもIT企業の特徴と言えます。
ですが、昔のように全社員にそのような働き方を強いることはありませんし、プライベートの理由で早く帰宅したら怒られたなどということは、現代はありえません。
もちろん、会社により未だブラックなIT企業は多いのかもしれません。
あくまでも一般的な視点にはなりますが、どこの企業も昔のように無茶な残業や休日出勤をやらない、やらせないようになって来ています。
もし、未だに労働条件が改善されない、もしくは、労働条件を良くしようという動きが全くない場合には、転職を考えた方が良いかもしれません。
それくらい、今のIT企業は労働環境の改善を大切に考えるようになりました。
IT企業の職種と給料
自動車を作るのに、エンジンを作る人、車体を作る人、ハンドルを作る人など、多くの仕事が積み重なって出来上がるように、コンピュータのシステムも様々な仕事(職種)が組み合わされて出来上がります。
以下に一般的なIT系の職種を紹介します。
ITコンサルタント
お客様の課題や悩みを伺いITを用いて解決する道筋を立案します。
コンサルタント会社ではなくIT企業の属するITコンサルタントは、コンサルタントから自社に還元できる仕事を作り出し、仕事の受注につなげる場合が多いようです。
技術営業と呼ばれることもあります。
ITコンサルタントは、IT技術者にとってあこがれの地位です。
「いつかは、あの人のようになりたい」と言われる、憧れの職種です。
プロジェクト・マネージャ
仕事を請け負ってから、設計、開発、納品といった1つの仕事が終わるまでをIT企業では「プロジェクト」と呼びます。
このプロジェクトの全体をマネジメントするのが、プロジェクト・マネージャです。
プロジェクト・マネージャの仕事は、お客様との折衝から社内リソースの調整、収支管理やプロジェクト課題のコントロールなど多岐にわたります。
野球チームでいうと監督のイメージです。
プロジェクト・リーダー
プロジェクト・リーダーは、プロジェクト・マネージャの指揮統括の下で、プロジェクトのある部分を任され、プロジェクトをマネジメントし遂行します。
プロジェクトの規模や、会社の職責の与え方にもよりますが、日々の現場の判断はプロジェクト・リーダーに任されることが多いようです。
野球チームでいうとキャプテンのイメージでしょうか。
サーバー・エンジニア
ITシステムを稼働させるための「サーバー」を構築する技術に特化したエンジニアを、サーバー・エンジニアと呼びます。
現代のサーバーのOS(オペレーション・システム)はWindowsやLinux(リナックス)など、多岐にわたっています。
また、最近は「サーバー仮想化」という技術が急速に進んでいますので、こういった領域を専門的に取り扱うエンジニアが必要になってきています。
野球チームでいえば、ピッチャー等ある得意分野を持つ選手のイメージです。
ネットワーク・エンジニア
ITシステムを使用するためには、コンピュータ同士をネットワークで接続する必要があります。
このネットワークの構築を専門的に行うのが、ネットワーク・エンジニアです。
最近はセキュリティに対する要求が厳しくなっていますので、ファイアウォールといったセキュリティ機器の知識も必要です。
野球チームでいえば、これもある得意分野を持つキャッチャーのような選手のイメージです。
データベース・エンジニア
ITシステムでは「データベース」というデータの格納庫を用いることがあります。
このデータベースは、「Oracle(オラクル)」や「SQL Server(エスキューエルサーバー)」といった、市販のデータベースが用いられることが多く、そのデータベースの構築やメンテナンスを専門的に行うのが、データベース・エンジニアです。
サーバー・エンジニアやデータベース・エンジニアのような特定のスキルに強いエンジニアは、現場で大変重宝がられます。
どのような領域のスキルでも、自信のある領域を持つエンジニアは、転職などにおいては積極的にアピールすると良いでしょう。
システム・エンジニア
ITシステムには様々なものがあります。
会社の経営に役立つシステムもあれば、従業員の給与計算を行うシステムもあります。
給与計算を行うシステムを開発、導入するためには、給与計算業務に詳しいエンジニアが必要です。
このように、システム自体やエンドユーザの業務に詳しく、システムを導入できるエンジニアを、システム・エンジニアと呼びます。
一般的にはプログラマより上級の仕事を担当する人をシステム・エンジニアと呼ぶことが多いようです。
この階層からお客様やプロジェクト・メンバーとのコミュニケーションが絶対的に必要となるため、コミュニケーション能力が求められてきます。
プログラマ
システム・エンジニアの指示に従いITシステムを開発する人、特にコンピュータ言語を駆使してシステムを作る人のことをプログラマと呼びます。
IT技術者の入り口となることが多い職種です。
全てのIT技術者の礎となる職種ですから、この段階で様々な技術を習得し、得意分野(JavaプログラムやWebアプリケーションといった技術領域)を持つようにしてください。
なお、IT技術者の場合、これら職種を兼務することがあります。
自分でサーバーも構築し、ネットワークも構築し、システムも導入するといった全てを1人でやってしまうエンジニアも居ます。
マネージャではなく技術者で食べていきたい人は、得意な技術領域を数個持ちましょう。
そして、その領域に関してアンテナを高く張り、常に最新の技術に触れておくように心がけましょう。
技術を極めるより、人を動かす方が得意であれば、迷わずマネジメントの道を選びましょう。
どんなプロジェクトにも、プロジェクト・マネージャは必ず必要です。
プロジェクト・マネージャとして実績を積めば、高額所得者も夢ではありません。
なお、給料的には、ITコンサルタント>プロジェクト・マネージャ>プロジェクト・リーダー>エンジニア>プログラマという順に格付けされることが多いようです。
IT企業に入社したら、プログラマやシステム・エンジニアとして働き始めると思いますが、ぜひ自分の得意領域を持ってサーバー・エンジニアやデータベース・エンジニア、さらにはプロジェクト・リーダーやプロジェクト・マネージャを目指してください。
まとめ
IT企業で高いお給料をいただくには、きちんとスキルアップして、年齢に応じた職種へステップアップしていく必要があります。
常に5年後、10年後に自分がなりたいエンジニアのイメージを持ちましょう。それに向けて常にスキルアップが必要です。
IT技術者が、残業といった「時間の切り売り」で評価される時代は終わっています。
これからは、自らの力でスキルアップできるエンジニアが重宝されます。
ITエンジニアの「きつい」、「帰れない」、「給料が安い」の3Kのイメージを払拭し、早く帰ってスキルアップして給料を上げるという良いサイクルを回すようにしてください。