「ほんとに仕事がしんどい・・」
「仕事が辛いけど、最近麻痺しているんじゃないか?と思う」
仕事が辛い、キツい事は分かっているけど、我慢した方がよいのか、それとも何らかの対処をした方がよいのか悩んでいる方はいませんか?
そのような方に向け、心が限界の時に発せられるサインと、対処法について解説していきます。
心が限界の時に発せられるサイン
心が限界の時に発せられるサインは、主に2つの種類があります。
それは、「精神状態」と「身体症状」です。
その出方は、人によってまちまちで、両方出る場合もありますし、どちらか一方のみ、という事もあります。
どちらにしろ、そのサインを見逃さない事がなにより肝要です。
精神状態
仕事が辛い、きつい、疲れる、という状況は誰にでもあるものです。
ただ、それがどれだけ持続しているのか?という視点はとても重要です。
例えば、今日一日とてもハードで疲れたとしましょう。
深夜業務で、遅く寝たのでその日の疲れが取れず、次の日も疲れが持続してしまう、という事は誰にでもあるでしょう。
また、「今週はハードだなあ」という場合も同様です。
ただ、土日を通過してもその疲れが持続している、ということであれば、事態はより深刻かもしれません。
一概には言えませんが、「2週間以上疲労感が持続している」ようであれば、限界に近づいている「サイン」と考えても良いでしょう。
精神状態としてのもう一つのサインは、「仕事に行きたくない」「やる気がしない」「気持ちが沈む」などの抑うつ気分が、どこまでの範囲で広がっているかです。
具体的に考えてみましょう。
もし、明日、嫌な上司がいる会議で発表しなければならない、としたら、誰でも気分は落ち込みますし、「あーいやだ、仕事に行きたくない」と思います。
しかし、会議が通過してしまえば、気分は元に戻ります。
そうしたイベントの有無にかかわらず、持続的に抑うつ気分が続いているのであれば、やはりそれは限界のサインと言えるでしょう。
また、仕事のみならず、自分の好きな趣味をしていても面白くない、おいしいものを食べても何も感じない、などの気分が続くようであれば、それは心の限界のサインと言えます。
また、精神状態に関連して、意識レベルでも低下が起こってきます。
例えば、普段考えもしないようなミスをしてしまう、会議でも何をしゃべっているかよく分からない、などの記憶や意思の低下が起きていれば、やはりそれは心の限界が近づいたサインと言えるでしょう。
身体症状
身体症状は、普段意識しないストレスや精神状態をうつす鏡ともなっています。
どういう事かというと、例えば、毎日上司に罵倒されるような職場で働いていたとします。
最初は、とても傷ついたり、辛い、苦しい、と考えているのですが、そのうちある一種の「慣れ」のようなものが出てきます。
これは、「辛い」という気持ちを心の中に無理矢理押し込んで、何も感じないようにするという、人間の心に備わっている防御機構なのです。(決して、耐性ができたわけではありません!)
ただ、この防御機構が働いていても、心身ともにストレスが溜まっていきます。
そうした場合、体は身体症状にその危険サインを表してゆきます。
ですので、身体症状は体からの「もうこれ以上無理しないで!無理すると体が壊れますよ。」というサインなのです。
ぜひ、このサインを見逃さないようにしましょう。
まず最も特徴的に現れるのは、「不眠」です。
不眠には二つのパターンがあり、中々寝付けないパターンと、寝てもかなり早い時間(午前3時~4時)に起きてしまうパターンがあります。
どちらも、ベットの中で悶々と考えが次から次へと浮かんでしまい、中々再度眠りに入れないという事で、つらい思いをされるようです。
もう一つ特徴的なのは、胃痛、吐き気、下痢などの消化器官に関する症状です。
特に、会社に行く前の朝などに、吐き気がして電車に乗れない、家から出られないなどの症状であれば、それは限界のサインです。
それ以外でも、めまい、耳鳴り、頭痛、突然涙が出て止まらない、などの特徴的な身体症状があれば、それは心が限界のサインなのです。
ぜひ、そのサインを無視しないで、対処する事を考えてください。
心が限界の時に行うべき対処法
前章にて、心が限界のサインについて説明しました。
そのような状態であれば、すぐにでも以下の対処法を取る事をお勧めしておきます。
心療内科へ相談する
まずは、心療内科に行ってみましょう。
といっても、これまで心療内科に行った事も無い、何を言われるのか不安だ、向精神薬など飲みたくない、など返って様々な不安があるのではないでしょうか?
もちろん、心療内科のお医者さんにも色々な方がいるので、必ずというわけではないのですが、ごく一般的に言って心療内科はとても過ごしやすい場所です。
心療内科では、医師を筆頭に、臨床心理士など心のケアを専門で学んだスタッフが数多く在籍しています。
初診は、特に気を使って、あなたの様々な悩みを聞いてくれるでしょう。
場所にもよりますが、心理士による面接、医師による初診などでも30分以上時間をかけて悩みを聞いてくれる所もあります。
逆にいうと、面接をほとんどせずに、拙速に「うつ病」の診断を下したり、抗うつ薬を大量に出したりする心療内科は避けた方がよいでしょう。
お薬についても、飲みたくなければ「飲みたくない」としっかり申告しましょう。
医師(薬剤師)による、薬の投薬に関する詳しいレクチャーや、副作用についても説明があるでしょう。(投薬せずに、カウンセリングのみの治療も可能です。)
逆に詳しい投薬の説明、レクチャーをしないような心療内科はやはり避けた方がよいでしょう。
最後に、よりよい心療内科を選択するコツは何ですか?と問われれば、医師とのフィーリングが合うかどうかだ、と答えます。
例えば、風邪で医者に行ったとします。
医師との気が合うかどうかにかかわらず、診断と治療がなされ、方針に問題なければ風邪は治るでしょう。
ただ、心療内科は「心」を扱う科です。
「このお医者様となら、何とか自分はやっていけそうな気がする」と思えるのとそうでないのとでは、やはり治療効果には歴然たる差が出てくる事でしょう。
ぜひ、「心療内科に行って、話を聞いてもらうのが楽しみだ!」と思えるような、フィーリングの合う医師(臨床心理士)に出会えるようにしてみましょう。
いくつかの心療内科を回ってみる事でも問題ありません。
何はともあれ休暇を取る
心療内科へ行くのと同時に、まず「仕事」は休みを取りましょう。
最初は、有給休暇で構いません。
理由も、「体調不良です。」という簡単な言葉で良いでしょう。
すでに心は限界に達しているのですから、余計な事を考えず明日からでも休暇を取るようにしましょう。
ただ、心が限界に達するまでがんばった人は、真面目な人が多いです。
「明日は、大事な顧客との面談なのに」「まだ明後日の会議資料終わっていない」「勝手に休むと、上司に怒られる」などなど、不安が多すぎて、つい休暇を取っていても、メール対応をしてしまったり、パソコンで仕事をしてしまう、という事はないでしょうか?
こうした仕事に関する事は一切忘れてください。
パワハラ上司から矢のような催促がきても、決して対応してはいけません。
「体調不良で、業務ができない状態です。」という事で無視しましょう。
休む期間は、2~3日というよりも、長期間(1ヶ月以上)を想定しておきましょう。
心療内科には、その点についてもアドバイスをもらっておくとよいでしょう。
また、長期間休むとなると、「引き継ぎが心配だ・・」と考える人もいますが、必要最低限度にしてください。
会社に在籍した人であれば分かると思いますが、急病(例えば心臓疾患など)でいきなり明日から出てこれないという人は少なからずいますが、引き継ぎがなくても何とか会社というものは回っていくものです。
そう考えて、引き継ぎなどは最低限度にして、しっかりと休むようにしましょう。
心理カウンセラーに相談する
心療内科に行くと、投薬と並行して心理カウンセリングを勧められる場合があります。
ぜひ、心理カウンセリングを受けてみる事をお勧めしておきます。
もちろん、心が限界に達してしまった、というその主要因は外部環境にあります。
ただ、「いつも生真面目に考えてしまう」「言われた仕事は無理にでも引き受けてしまう」「仕事を完璧にこなさないと気が済まない」などの「性格面」での特徴はないでしょうか?
こうした自分自身の傾向や考え方を探って、今後、心が限界に達しないように意識改革を行うのもとても大切です。
基本的には、心理カウンセリングを行う臨床心理士(そうでない資格もある)は、心のケアや傾聴のプロですので、あなたの悩みをしっかりと受け止めてくれますよ。
ただ、一点注意点があります。
心理カウンセリングが保険適用されるのは、医師または医師の指導を受けた特定の精神治療のみとなります。
ですので、外部の心理カウンセリングは当然ですが、心療内科に併設されたカウンセリングルームでも、保険適用されない場合があります。
これについては、心理カウンセリングを受ける前に、よく相談しておきましょう。
休職届けを提出し、最終的には退職も考える
心が限界に達してしまった場合、長期間「休み」を取らなければならない場合も出てきます。
そのような場合、ぜひ「休職制度」を利用しましょう。
休職を願い出る場合、会社に「休職願」を提出し、認められれば休職する事ができます。
心療内科に行っていれば、何らかの「診断」は出ますので(それだけ、現在の状況は深刻だという事です)それを添付しておけば、間違いなく認められる事でしょう。
休職制度のメリットは、会社を辞める事なく、ある程度長期間休める事です。
また、会社の多くは、給与もある程度補填してくれる場合がありますので、「会社規定」を読んでみましょう。
万が一、会社からの補填がない場合でも、健康保険から「傷病手当」の給付が見込めます。
合わせて、申し込みをしてみるとよいでしょう。
「休職」というと、もちろん元の会社に「復職」を前提としているわけですが、あまり気にしなくてもよいです。
特に、様々な会社の人間関係や会社のセクハラ・パワハラ体質に悩まされた人にとっては、復職は考えただけでも身震いがする事ではないでしょうか?
そういった場合、回復後は遠慮無く、別の会社への転職を考えましょう。
特に何か、罰則があるわけではありません。
事実、休職期間が終わっても、そのまま復職せずに退職する人は、とても多いです。(もちろん、病状が回復しなかった、というケースもありますが・・)
元の会社に戻れるのであればそうしても良いですが、新しい場所で心機一転、というのもぜひお勧めしておきます。
心が限界点を超えてからでは遅すぎます!一刻も早く対処を。
心が限界の時のサインをいくつか記載しましたが、一つでも当てはまるものがあれば、明日からでも記載した対処法を試してみてください。
会社は、自分の体の事を気にはしてくれません。
自分の体を心配して、守る事ができるのは自分自身しかいません。
一刻も早く、現状を変えて、まずは休息を取りましょう!