「仕事でミスばかり続いている、本当に自分はダメなやつだ。」
と悩んでいる方はいないでしょうか?
もしかしたら、その悩みは「それほど気にしなくてよい」ケースかもしれませんし、「気にした方がよい」ケースかもしれません。
この二つのタイプの差異や対処方法について解説してゆきます。
ミスが続くのは偶然なのか?
「なぜかこの所トラブルやミスが連発する。運が悪いのか?何か根本的な問題があるのか?」という場面は、誰でも少なからず経験した事があるのではないでしょうか?
この「単に運が悪いケース」と「根本的な問題がある」二つの場合を分けて考える必要があります。
つまり結論としては、どちらもあり得るのです。
突然ですが「ポアソン分布」という言葉をご存じでしょうか?
「ポアソン分布」はまれにおこる事象を論ずる統計学の手法です。
難しい数学の手法はさておいて、簡単な例を出してみたいと思います。
昔、ドイツ軍のV2ロケットが、ロンドンのどの地点に着弾するか調べた所(誘導できませんので完全にランダムと考えます)、ある偏りがある事が分かりました。
つまり、ある地区では平均を遙かに超える数のロケットが着弾していました。(平均約1発に対して何と5発!)
「この地区は狙われているのか?」「何と運の悪い地区だ・・」と考えた事でしょう。
もっと身近な所では、1日に来るメールの数を数えてみましょう。
平均20通だとして、だいたい20通前後で推移する、と考えると間違いです。
極端に少ない日(5通以下)や極端に多い日(40通以上)がある事に気付く事でしょう。
このように、まれなこと(例えば、仕事のミス)は「平均」で考えるより、全く起こらないか、立て続けに起こるかのどちらか、と考えた方が、より実情に近いのではないでしょうか?
現代人は、ポアソン分布よりもどちらかというと正規分布、平均という考え方に慣れているので、立て続けにミスが続くと「運がない」と悩みがちですが、単純な「自然現象」としては、そうでもないようなのです。
関連性のあるミスが連続する場合は要注意!
前述のポアソン分布は、「ランダム」である事が前提でした。
このポアソン分布が成り立たない場合があります。
それは、仕事のミスに関連性があった場合です。
つまり、システムや考え方でのミスや不備があり、「仕事のミス」が立て続けに起こってしまう場合です。
これも、皆さんの感覚とかなり近いものがあるのではないでしょうか?
そうです、考え方やシステムに不備があるのであれば、そこを改善すれば、おのずと「仕事のミス」は減らしてゆく事ができるのです。
ミスが多くて落ち込む時の対処方法
「仕事のミスが多くて落ち込む・・・」といった場合、それが単なる偶然なのか(自然現象)、何か原因があるミスなのかを見極める必要があります。
そこが分かれば、おのずと解決方法は見えてきます。
この章では、「原因のあるミス」を中心に、その対処法も含めて記載しました。
ぜひ、自分の行動をチェックしてみる事をお勧めします。
あまり過剰に落ち込まない
もし、仕事の不備が単なる偶然の産物であれば、あまり気にしないようにしましょう。
例えば、全く関連性のない顧客2名から、同時に関係性のないクレームやお叱りがあったとしても、それは単なる「偶然」です。
「今日はツイてない日だな・・」と思う事は仕方ありませんが、不必要に悩む必要はありません。
むしろ、単なる「自然現象(ポアソン分布)なのだ」と思えば、心も軽くなるのではないでしょうか?
体調に不備はないか?
体調に不備がある場合、集中力が落ちてしまい、どうしてもミスを連発してしまいます。
もちろん、風邪や急な体調不良はどうしようもありません。
余り無理せず、適切な休養を心掛けましょう。
ただ、体調は問題無いが、夜寝付けない事が多い、慢性的な睡眠不足である、というような場合は注意が必要です。
それに加えて、仕事をしていてもボーとしてしまい、やる気がしない、食事を食べてもおいしくない、というような感じであれば、それは「うつ病」「うつ状態」の前触れかもしれません。
このような状態であれば、当然「仕事の質」は望めません。
「この程度で・・・」と頑張らずに、まずは有給休暇で休養を取る事をお勧めしておきます。
ポイントは、このような状態が長期間持続的に続いているかどうかです。
誰でもそうですが、明日大事なプレゼンがある、重役との面接がある、という事であれば緊張してしまい睡眠不足になるのは、ある意味「あたりまえ」です。
そうではなく、例えば毎日睡眠不足で、頭がボーとしている状態が2週間続いている状態
であれば、注意が必要です。
また、もし休養を取っても、症状が改善されないようであれば、心療内科などの適切な医療機関にかかるようにしてみましょう。
自分の記憶力を過信していないか?
仕事でミスする人に多いのが、自分の記憶力を過信している場合です。
通常の社員であれば、基本とても忙しいのが現代社会です。
ルーチンやミッションを含めて1つしか課題を持っていないという人は皆無といってもよいでしょう。
少なくても5つ~6つ、多ければ10や20平気で持っているという人もいるでしょう。
その課題それぞれが多かれ少なかれ期限や進捗により日々変化してゆきます。
これをすべて頭で覚えていればよいのですが、多くの人にとってそれは不可能な事です。
ですので、日々指示の変更や、進捗も含め、明確にメモを取って、自分なりに進捗管理や工程管理をしてみましょう。
これをしないでおくと、上司から「あれ、どうなった?何~忘れてただと!!」と怒られてしまう可能性があります。
以下は、私の個人的な方法ですが、朝一でその日やるべき仕事課題は書き出しておきます。
そしてデスクの上に貼り出しておきます。
また、3日~1週間程度の期限の仕事は、別のリストにして管理していました。
また、面談などの絶対に忘れてはいけない項目は、会社のシステム内に書き込んで、周りにもシェアするようにしていました。(ある程度の大きさの会社であれば、そうしたシステムが入っていると思います。)
もう一つ大事な事は、面談等で出てきた課題ややるべき事は、その日の内に「報告書」としてまとめておきましょう。
めんどくさがりの人は報告書の提出を2日後、5日後、1週間後、と先延ばしにしがちですが、1週間後だと話した事の半分も書き出せないでしょう。
ちゃんとした報告書にできなくとも、少なくとも「メモ書き」をその日の内に書いておきましょう。
これらの事をするだけで「忘れていた・・」というミスはほとんど無くなる事でしょう。
そういった仕事ミスが多い人は、ぜひ実践してみましょう。
自分で再チェック、不安であれば上司に確認を
仕事のミスは様々な事で発生します。
誤字や報告書の間違い、特に最近発生して問題になるのは、メールの誤発信です。
漏れてはいけない会社の内部情報がメールの下の方についていたのを気付かず、顧客に送ってしまった、間違えて見積もりを別の顧客に送ってしまった、など枚挙にいとまがありません。
最近では、送る前に「再度これで良いか確認してください。」などの文言が出る場合や、一定期間、会社のサーバーに保留するなどの措置が取られる事も多いようです。
こうしたミスを無くすためには、自分が次のアクションに移る前にもう一度確認する、という癖をつけることです。
こうした自己チェックは大量になればなるほど、めんどくさいし、時間がかかります。
ですので「こまめ」にやるという事が重要な事です。
例えば、文書の確認でも、すべて書いてから確認するのではなく、文書自体はこまめに1段落ごとに確認してゆきます。
そうして、完成してメールに添付する場合は、全体の書式は大丈夫か、内容の「おおまか」はこれでよいか?、送る相手が適切か?などを確認して送ります。
仕事全体の方向性や、やる事が不明瞭な場合は、上司に「こまめ」に確認する事も大事です。
めんどくさい、ということで「上司」への確認を怠っていると、仕事のベクトルが異なったまま、その差異が広がってしまいます。
広がった後でもし問題になれば、それこそ、それを是正するために、より多くの時間と体力を使わなくてはなりません。
差異が小さい時点では、口頭で上司に「○○部長、~の件は□□で進めてよいですよね?」と聞けばよいだけです。
仕事のベクトルの差異は、小さい内に修正すれば、いわゆる「仕事のミス」は最小限で済む事でしょう。
デスク周りやPCの中もこまめに整理する
適切な時に適切な情報が出てこないとミスの原因になります。
例えば、見ている指示書が1年も前のもので、改訂されたものとは違っていた、ということであれば大問題となるでしょう。
デスクの中やパソコン(PC)の中は常に整理整頓を心掛けましょう。
まずデスクの上は、今日使う最低限度の資料だけにしましょう。
それ以外の資料は、キチンとファイリングして、棚にしまっておく、というのがスタンダードになりつつあります。
また、パソコンの中も、デスクトップがファイルで埋まっており、どれがどれか分からない、という場合がありますが、きちんと仕事別にフォルダーで分けて管理しておきましょう。
ファイル名も時系列で分かるように、日付などをファイル名に入れておくと時系列に並べ安く整理しやすいです。
このように、資料や書類はつねに整理して、いつでも取り出せるようにしておく事で、ずいぶんと「仕事のミス」を減らす事ができますよ!
時には「自分の責任ではない!」と割り切る
「仕事のミス」というものは、時として誰の責任か分からない場合があります。
例えば、午後3時に顧客との面談があり、エリアの営業と同行してゆく事になりました。
エリアの営業が「1時間前に出れば間に合いますよ」という事だったので、1時間前に車で出かけたのですが、渋滞で間に合わず30分遅れてしまいました。
顧客は、面談はしてくれましたが、とても機嫌が悪く、これから仕事を進めるのが難しい状況になってしまいました。
この場合、もちろん直接的にはエリアの営業マンの「ミス」という言い方はできますが、主体的に動くのはこちら側です。
その分、顧客との関係性の悪さや進捗の遅れは、自分の仕事の「ミス」と「責任」となってしまいます。
「あの時、大切なお客だから、もう少し早めに行こう、と言うべきだったか。・・」など悩んでしまう事もあるかもしれません。
こうした場合、「自分の責任ではない!」と心の中で割り切る事も大切です。
そうして、今後どのように関係性を良くするべきかに注力すべきです。
それでもダメであれば「一緒にやるには、性格に難あり」という事で片付けてもよいのではないでしょうか?
どうしても重要な顧客であれば、役員クラスに同行してもらって、わびを入れるのもよいかもしれません。
このように、過ぎてしまった「自分のせいではないミス」は割り切って、次に進む事も大切な事です。
仕事のミスはクヨクヨせずに、素早い改善を心掛けましょう
仕事のミスは、どうしようもなく重なってしまったり、自分のミスではない場合もあります。
こうした場合は、クヨクヨ考えずに、今後どうするか?のみを考えて、前向きに考えましょう。
一方、自分自身に改善の余地があるミスであれば、放置せず、ミスはミスとして謝り、改善点を探して即実行に移すべきです。
どちらにしても、既にミスした事は取り戻せませんので、前向きに思考して、今後どうするのか?のみを考えて実行に移しましょう。