「仕事を辞めたいけど、中々上司に言い出せない。」
「仕事を辞めたいと考えているが、日々の仕事が忙しく考えがまとまらない。」
と悩んでいる方は多いのではないでしょうか?
そんな方に向け、仕事を辞めたいと言えない理由をケースごとに類別し、言いやすくなるためのコツをレクチャーいたします。
「辞める」理由を正直に言うべきか?
会社をやめたいと思う理由は人それぞれですが、「人間関係」「仕事のやりがい」「金銭」の理由が大多数を占めます。
ただ、どれもそのまま正直に退職理由として伝えてしまうと、角が立ち、円満退職の阻害要因ともなりかねません。
もちろん、「欝病である」などと嘘をつくのはいけませんが、もっと円満な「退職理由」の伝え方はいくらでもあります。
以下のケースごとに、もっとも適切な「退職理由」についても多く記載しておきましたので、参考にしてみてください。
上司が怖い
会社を辞める際、もっとも先に言わなければならないのが「上司」です。
ほどよい人間関係であれば、何も問題がないのですが、パワハラ、セクハラ、などなど圧迫的な上司である場合、なかなか切り出しづらく悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
一つ言える事は、こうした圧迫的で恫喝を繰り返しているような上司の場合、部下からの信頼も低く、自分が「好かれている」とは思っていません。
また部下も、辞めたり、異動する方も多いのではないでしょうか?
そうした場合、「退職」を切り出すと、「そうか」の一言で済む場合があります。
こうした上司は、自分が好かれようとは思っていないので、さっさと自分の役に立たない人間は切り捨て、次の人材を探そうと思っています。
ですので「退職」においては、意外に後腐れがなくすんなりOKが出る場合があります。
もちろん、その後の「引き継ぎ」などへの協力は殆ど見込めませんが、「上司」にとっては「あなた」はすでに過去の人です。
あまり細かい事は言わず、引き継ぎは最低限こなせば問題ないでしょう。
「退職理由」はもちろん、「あなた(上司)が嫌いだから」とは口が裂けても言えませんので、「一身上の都合です。」「家庭の事情です。」といっておけば、それ以上つっこまれる事も、引き留められる事もないでしょう。
どうしても言い出せない場合は、第三者を介する
ただ、上司によっては「退職」を切り出したとたん、恫喝してくる、またそれが強く予測され、上司に言うことは無理、というケースもあることでしょう。
こうした場合、第三者を介す事が最善の策です。
上司の上司、総務部の二つの選択肢がありますが、総務部が一番よいでしょう。
ワンマン企業の零細だと難しいのですが、中企業以上「総務部」はある程度の権限をもっており、パワハラや恫喝などの行為は建前上許されない事になりますので、相談に乗ってくれる事でしょう。
また、「退職」は憲法上許された個人の自由(職業選択の自由)ですので、対応しない「総務部」というのはあり得ません。
ただ、「円満退職」はあきらめましょう。
直接上司に言わないということは、上司にとっては恥をかかされたも同然です。
もはや、感情面での修復は難しいので、「総務部」と相談しながら淡々と事務的に「退職」まで過ごしてみましょう。
残業が多くハードワーク過ぎる
残業や休日出勤が多く、今後のことを考えたら転職したいが、そんな事を考えている余裕がない、という方は多いと思います。
「転職」するとなれば、「会社を辞める」「転職先を探す」というふたつの大きな壁があり、精神的ストレスとともに未知の余計な実務が増えます。
現在の仕事で、精神面、体力面ともに精一杯という場合、こうした余計な実務が入り込む余地がなく(本当はとても大事な将来のことなのですが・・)、「現状維持」という力が強く働きます。
ブラック企業では、こうした人間心理を巧みに操っており、「仕事を辞めたい」と言い出しづらい環境を意図的に作っている場合があるようです。
まずは、やらなくてもよい仕事をやめる事から
こうした状況に陥ってしまい、ズルズルと我慢して仕事を続けている場合は、まずは「ここまできたら仕事を辞める。」というデッドラインを決めておきましょう。
これは期間でもよいし、仕事量、精神的ストレス、などなど何でも構いません。
そして、そのデッドラインを超えたら、表面上は仕事を続けながら、意図的に仕事量を減らしましょう。
「他人に任せてよい仕事」「やらなくてもよい仕事」「お付き合い残業」などがあるはずです。
これらの仕事は、これまでは会社にいる事前提で、あなたが責任感あるがゆえにやってきた仕事ですが、もうこの会社は辞めるのです。
もうやる必要はありません。
仕事量を減らして、仕事を辞める手続きや、次の仕事探しに時間を割いてみてください。
上司との人間関係が良好過ぎる
上司がとても面倒見がよい、相談に乗ってくれた、困った時に助けてくれた、こういった場合も、「退職」は中々切り出しづらいものです。
「恩を仇で返す事になるのではないか?」「上司は豹変して、怒り出したりしないだろうか?」という事を考え、心配されている方も多いのではないでしょうか?
本当に良い上司はあなたの意見を尊重してくれます
部下が「本音」を言った時に、上司もその「本性」が見えてきます。
「今の会社を辞めたい」というのが、あなたの「本音」です。
どうして辞めたいと思っているのか、「退職理由」をぜひ率直に「上司」に伝えてみましょう。
そこで、怒り出すような上司は、結局「あなた」の事を考えていたわけではなく、「自分」の事しか考えていなかったのです。
表面上良好な人間関係だったとしても、それは偽りの人間関係でした。
捨て去っても問題無いのではないでしょうか?
個人的な意見ですが、「上司」としてはやはり「こいつ、これまで色々教えてやったのに・・」という気持ちはあります。
ただ、本当に人間性の相性が良ければ、退職後も「友達」として付き合えますし、同業にしろ、異業種にしろ、会社の組織以外での「人脈」が広がるのはとても良い事だと思えます。
そうした事に、思いが及ぶのも「上司」としての素養という事が言えるでしょう。
仕事のやりがいがなくモチベーションがない
「仕事にやりがいが持てず、仕事を辞めたい。」という「退職理由」は、本音の「退職理由」としては、とてもメジャーであると思います。
仕事にやりがいを持てないという場合、「本当にやりたい仕事がある。」「考えていた仕事とは違った。」「仕事自体は好きだが、この会社の運用や使い方が嫌だ」など理由は様々でしょう。
また職種というより、業界全体の雰囲気が嫌だ、悪しき風習や前途のない方向性などに嫌気がさした、という場合もあるでしょう。
個人的な体験ですが、私は業界全体の悪しき風習ややり方が嫌で「転職」を選んだ口です。
ただ、「退職理由」として、誰かにその事を話す事はありませんでした。
がんばってその業界でやってゆく方々に向かって、そのような事を言うと不快に思われるだろう、と思ったのと、何よりも到底理解されないだろうと思ったからです。
「やりがい」がないとは言わず、やりたい仕事があると言おう
「仕事にやりがいを持てないので、会社を辞める」といった場合、その事自体を正直に言うことは、やはり「言われた相手」にとっては不快でしょうし、「円満退社」を考えるのであれば、あまり適切とは言えないでしょう。
こうした場合、「やりがい」がない、と言うのではなく、「やりたい仕事ができた」というように、前向きな言葉に代えるとよいと思います。
言われた相手(上司)も、「自分が否定された」と思わず、「やりたい仕事ができたのであれば、しょうがないな。」といった感じで、素直に受け入れてくれる可能性大です。
退職理由が自分の都合
退職理由が、仕事内容というよりは自分の都合という場合、「言いづらい」という方は多いのではないかと思います。
「都会暮らしがしたい」「自動車が持ちたいので田舎に行きたい」「登山が趣味なので、山の近くがいい」などなどこうした、「仕事のやりがい」と関係ない自己都合の退職理由は、あまり好ましく思われないのは事実です。
ただ、個人の趣向の範囲ですので、あまり激しく「抵抗」されるという事も少ないかもしれません。
ただ、あなたが会社にとって必要な人材であった場合は、「引き留め」にはあうかもしれません。
自己都合は、「家庭の事情」と言えばOK!
こうした自己都合の場合、「家庭の事情」としておくのが一番適切です。
「家庭の事情」と言っておけば、多くは「それなら仕方ない」という事で、基本的には了承してもらえます。
あまりしつこい「引き留め」にも会うことはありませんので、お勧めです。
また、結婚して辞めるという「寿退社」も自己都合ですが、この場合はっきり理由を述べても角は立ちません。
多少「やっかみ」はあるかもしれませんが、多くの方があなたを祝福して見送ってくれることでしょう。
給与が安すぎる
現在の給与体系は安すぎる、もっと年収アップさせたい、という場合も本音の「退職理由」としてはメジャーなものの一つです。
ただ、面と向かって「この会社の給与が安すぎるので、会社を辞めたい。」とは中々言い出せないのではないでしょうか?
給与に関わる話は、遠回しに言う方がベター
給与が安くて仕事を辞めたい場合、「自分をよりキャリアアップさせる会社に転職する」「スキルアップできる会社に転職を考えている」というような言い方をしてみましょう。
これは、暗に「この会社では、スキルアップ、キャリアアップができない。」と言っています。
またキャリアアップ=給与が上がるという事になりますので、「この会社の給与には満足していないよ。」という事を暗に伝えています。
もし、あなたが優秀で会社にとって必要な人材であれば、「もう少しあなたのキャリアアップや給与に関して考えさせてくれないか?」という提案が出てくるかもしれません。
もし、あなたの不満が、会社の給与だけという状況であれば、この提案には乗ってみてもよいでしょう。
もちろん、それでもあまり満足できなければ、改めて転職を考えればよいわけです。
重要な事は、あまりダイレクトに「給与」の話をせずに、「キャリアアップ」「スキルアップ」という遠回しな表現にしてみましょう。
これは、「給与交渉」という側面もありますので、あまり「辞める」「辞めない」を断定的にいう表現も避けた方がベターです。
自分でデッドラインを決めておけば、行動しやすくなります。
ケースごとに、適切な「退職理由」や言いやすくなるコツを述べてきました。
どのケースでも統一して言える事は、「実際に行動するためには、線引き(デットライン)を明確にしておき、超えたら行動を始める。」としっかり決意しておくことです。
それがないと、どうしても日々の仕事に流されてしまい、転職時期を逸してしまう事にもなりかねません。
「仕事を辞める」と伝える事は、非常にハードルが高いです。
決意した日からすぐ退職を伝えるのではなく、転職活動や退職の準備を先行させてみましょう。
転職活動がある程度順調に進めば、「仕事を辞める」と伝える事もハードルが下がってきます。
決意した日から実際に行動を起こすことが最も重要です。