マイナンバー制度が施行され、企業では既に従業員のマイナンバー収集がひと段落しています。
企業に入社した際に、マイナンバーの提出を行うことについては、既にどの企業も混乱なく対応しているのではないでしょうか?
「私はアルバイトだからマイナンバーなんて関係ない」と思っている方はいませんか?
アルバイトでもマイナンバー提出の義務はあるのか、マイナンバー提出を拒否したらどうなるのかについて解説します。
なぜ、会社はマイナンバーを集める必要があるのか
まず、なぜ会社は従業員のマイナンバーを集める必要があるのかについて、説明します。
国税庁が発行している広報資料、「法定調書提出義務者・源泉徴収義務者となる事業者のための社会保障・税番号制度の概要」を用いて説明します。
「法定調書提出義務者・源泉徴収義務者となる事業者のための社会保障・税番号制度の概要」
https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/pdf/gaiyo.pdf
「法定調書提出義務者・源泉徴収義務者となる事業者のための社会保障・税番号制度の概要」
P2より抜粋 https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/pdf/gaiyo.pdf
「法定調書提出義務者・源泉徴収義務者となる事業者のための社会保障・税番号制度の概要」
P3より抜粋 https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/pdf/gaiyo.pdf
この資料によると、「源泉徴収義務者(給与の支払者等)は、平成28年1月1日以後に提出する申請書、届出書等に、源泉徴収義務者のマイナンバー又は法人番号を記載する必要があります」と記載されています。
また、「法定調書の提出義務者(支払者等)は、平成28年1月1日以後の金銭等の支払等に係る法定調書に、原則として金銭等の支払を受ける方及び支払者等のマイナンバー又は法人番号を記載する必要があります」とも明記されています。
ここで言う「給与支払者」、「源泉徴収義務者」、「法定調書の提出義務者」とは、皆さんに給与を支払う企業のことになります。
つまり、企業は皆さんに給与を支払ったことを、源泉徴収票や法定調書にて市区町村や税務署に提出する必要があるのですが、原則として金銭等の支払を受ける方のマイナンバーを記載する必要があります。
この源泉徴収票や法定調書を作成する必要がある場合は、正社員やパート、アルバイトといった雇用形態に関係なく、従業員のマイナンバーを提出する義務があるということです。
マイナンバーの提出を拒否するとどうなる?
では、このマイナンバーの提出を拒否するとどうなるのでしょうか?
これについては、国税庁のホームページ、「社会保障・税番号制度<マイナンバー>FAQ>源泉所得税関係に関するFAQ>源泉所得税関係に関するFAQ」のページに詳しく説明されています。
Q1-13 従業員からマイナンバー(個人番号)の提供を拒否された場合、どのように対応すればよいですか。
(答)従業員等に対してマイナンバー(個人番号)の記載は、法令で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。
それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。
経過等の記録がなければ、マイナンバー(個人番号)の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。
Q1-15 扶養控除等申告書に従業員等のマイナンバー(個人番号)を記載させなかった場合、罰則はありますか。
(答)扶養控除等申告書にマイナンバー(個人番号)の記載がなかった場合に罰則はありませんが、扶養控除等申告書へのマイナンバー(個人番号)の記載は法令で定められた義務であることから記載を求めるようにしてください。
この様に、従業員からマイナンバーの提出を拒否された場合でも、源泉徴収票や法定調書の事務は通常通り行われます。
ただし、このQAに記載されているように、「法令で定められた義務であることから記載を求められる」ことになります。
さらに、企業側に「提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存する」ことが求められます。
つまり、マイナンバーの提出を拒否することはできますし、それによって給与が支払われない、税制面で不備が出るといったことはありません。
とはいえ、会社側に手間を増やしてしまいますので、アルバイトやパートであっても、マイナンバーの提出はすべきです。
自分のマイナンバーの確認方法
アルバイトやパートでも、マイナンバーの提出が義務であることはご理解いただけたでしょうか。
「そんなこと言われても、自分のマイナンバーってどこにあるのか、どうやって調べられるのかも分からないよ!」という方もいらっしゃるかもしれませんね。
ここで、自分のマイナンバーの確認方法について説明します。
まず、皆さんのマイナンバーは平成27年頃に全国民に通知されています。
このとき郵送されたのが、「個人番号通知カード」です。
通知カードは紙製のカードで、券面には「氏名」「住所」「生年月日」「性別」と「マイナンバー(個人番号)」等が記載されています。
個人番号通知カードのデザイン=マイナンバーカード総合サイト より抜粋
https://www.kojinbango-card.go.jp/tsuchicard/index.html
通知カードは見つかりましたか?
通知カードを紛失した場合の再発行は、市区町村窓口で可能ですが、手続きには通知カードを紛失したことを証明する必要があります。
まず、交番や警察署で遺失物届の手続きを行った上で「受理番号」を持って、市区町村の窓口へ行きましょう。
マイナンバーの提出まで時間が無く、再発行を待てない場合は、お住まいの市区町村窓口で「住民票」を発行しましょう。
住民票の発行時に、「勤務先に提出するのでマイナンバーが記載された住民票を発行してください」とお願いすれば、マイナンバーが記載された住民票を発行してくれます。
マイナンバーの提出時は本人確認が行われます
マイナンバーが入手できたので、いざ提出となりますが、提出する際にもコツがありますので、解説しておきます。
マイナンバーの提出時には、必ず「本人確認」という儀式が行われます。
マイナンバー制度概要資料より抜粋
http://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/seidogaiyou_2907.pdf
このとき、通知カードや住民票を利用する場合は、運転免許証やパスポートなどの身分証明書を併せて提出する必要がありますので、忘れず持参しましょう。
なお、マイナンバーカード(個人番号カード)を発行していれば、この本人確認が1枚のカードだけで完了できます。
マイナンバーカードは、マイナンバーの確認も、身元の確認も1枚でできる最強の身分証明書と言えます。
社会人になったら、マイナンバーカードの交付申請を行って、マイナンバーカードを持つことも考えましょう。
なにしろマイナンバーはインフラですから、ルールを知って便利に使わなければ損です。
マイナンバーカードを持つメリット
話題がマイナンバーカードに及びましたので、マイナンバーカードを持つメリットについて触れておきます。
マイナンバーカード総合サイトでは、「マイナンバーカードの6つのメリット」が示されています。
マイナンバーカード総合サイト/マイナンバーカード6つのメリットより抜粋
https://www.kojinbango-card.go.jp/kojinbango/merit.html
この中で特に私が利用をお勧めするのが、コンビニでの各種証明書の取得に利用できる「証明書コンビニ交付サービス」です。
コンビニ交付のホームページ(https://www.lg-waps.jp/01-04.html)にて、まず皆さんがお住まいの市区町村がコンビニ交付サービスを実施しているかどうか確認しましょう。
もし、お住まいの市区町村がコンビニ交付サービスを実施しているようなら、ぜひマイナンバーカードを発行し、コンビのキオスク端末(マルチコピー機)から各種証明書の発行を行ってみてください。
毎日6:30から23:00まで、お昼休みや市区町村窓口の閉庁後(夜間、休日)でも、いつでも必要なときに利用できますので、大変便利なサービスです。
また、自営業やアルバイトの場合、自分で確定申告を行う方も多いと思いますが、マイナンバーカードがあれば、税務署に出向くことなく、インターネットを利用して申告、申請・届出及び納税など各種手続をすることができます。
忙しい方には、大変メリットの大きいサービスと言えます。
ぜひ活用してみてください。
まとめ
パートやアルバイトであっても、マイナンバーの提出は義務であり、提出する必要がある事はご理解いただけましたでしょうか?
どうせ提示しなければならないものであれば、マイナンバーカードを発行し、手間なく手続きを行うことをお勧めします。
マイナンバーカードは未だ発行枚数が全国民の1割程度と言われています。
マイナンバーカードで、各種手続きを済ませ、コンビニ交付などのサービスを上手く利用することで、マイナンバーという社会的インフラを少しでも活用できれば、社会人として有益なツールを1つ習得したと言えるのではないでしょうか。
ぜひ、「マイナンバーは怖くて扱えない」と言わず、適切にルールを怯え、スマートにマイナンバーを扱ってださい。