商社マンは通常の会社員に比べて「専門知識が少なく、異業種への転職が厳しいのではないか?」と不安に感じていませんか?
そんな方には、ぜひこの記事を読んでいただき、自信を持って転職活動をしていただきたいと思っています。
こちらでは、商社マンの方が異業種に転職する際のポイントについて紹介しているので是非参考にしてください。
商社マンが、異業種に転職するに当たって有利な点
「商社」は、基本的には製造部門を持たない業態です。
そのため、どのような分野においても、製造部門がある会社に比べ、専門的な知識やノウハウが蓄積しにくい、というように言われます。
しかし、だからといって異業種でその交渉ノウハウや情報収集能力がまったく役に立たないか?というと、そんな事はありません。
ここでは、商社マンが異業種に転職するにあたって有利な点を述べてゆきます。
語学のスキルが優れている
商社マンはなんといっても語学スキルは優れています。
英語はもちろんのこと、中国語、ドイツ語、韓国語などなど世界中の商材を扱うため、非常に多様な言語に精通しています。
語学力といった場合、文法や単語能力と思っている人が多いのですが、大事な事は「いかに自分の伝えたい事を、相手に上手な表現方法で伝えるか?」です。
個人的な体験ですが、自社の子会社(アメリカの子会社)と、会議やメール等でも頻繁にやりとりをしていました。
このような場合、相手の方(アメリカ人)はある程度こちらの意図をくみ取ろうと努力してくれますので、会話が成立していました。
これが交渉先や見知らない第三者ともなると、少しでも相手の言葉が理解できなかったり、表現がよくないと「Thank you」で、すぐ終わってしまいます。
本当に交渉事における語学力というのは「大変なんだな」と実感した記憶があります。
それに比較して、商社マンの方は日々そういった交渉事が仕事といってもよいぐらいです。
そのため、語学スキルは、他業種と比較してもかなり優れているといってよいでしょう。
売り上げ(利益)をあげるための戦略に精通している
どんなすばらしい製品やアイディアを持っていても、それによって売り上げを上げなければ会社は成立しません。
技術系の会社(ベンチャーは特にそうですが)は、製品のアイディアやそれを作り出す技術力には優れています。
しかし、その製品の市場での位置(競合他社はいないか、いるとすれば有利な点と不利な点はどこか?)やどのような販売戦略を用いるのか(人的資源(営業マン)なのか、Web戦略なのかなど)については、精通していない場合があります。
商社マンは、実はそこが専門的スキルの部分です。
すなわち、その製品の市場での位置を知るための情報収集から、どのような販売戦略を立ててそれを売り上げに結びつけるか、またそのための契約交渉や営業の実践まで含めて専門的スキルです。
こうしたインプットからアウトプットまでのトータル戦略を練ることができ、かつ実践できるのが、商社マンの最大の強みと言えます。
商品に対する冷静な視点を持っている
様々な商材を扱ってきた商社マンは、様々な異分野の商材も貪欲に吸収します。
そのため専門的知識に関しては製造メーカーには及びませんが、販売戦略を練るための最低限の知識を効率よく吸収する事に関しては長けています。
また、良い意味で製品に対する愛情は製造メーカーよりは少ないので、冷静な目で、その商材が市場でどのように判断されるかについて、第三者的な目で判断する事ができます。
こうした、売り上げ(利益)に特化した第三者的な視点は、会社にとっても非常に重要な部分です。
前節でも申し上げましたが、売り上げ(利益)がない会社というものは、存在しえないからです。
商社マンが、転職するに当たって有利な業種・職種
商社マンが転職するにあたり、有利な業種というものは実はあまり特定できません。
というのも、有形、無形に限らずどんなものでも売るのが商社です。(個人個人で得意、不得意はあると思いますが。また、商社によっては、特定の商材に特化している場合もあります。)
ですので、基本的にはどんな業種でもOKです。
ただ、スキル的に必要とされている、優位だ、という分野はいくつかあると思いますので、ここでご紹介したいと思います。
ベンチャー企業の販売・経営マネジメント
技術系のベンチャー企業(バイオ、化学、工学、ITなど)は、特に面白いアイディアやそれを製品化する技術力には優れていますが、さて、これをどうやって売っていくか(それもグローバルに!)については、あまり良く知りません。
技術系の方が社長をやっている場合は特にそうです。
それまで、研究畑にいて研究に没頭していたが、いざ製品を売る(営業をする)となった場合にどうしたらよいか分からない・・という事例は多いです。
こうしたベンチャー企業において、販売戦略を練り、かつ利益の得られる経営(企業活動)に関する助言をし、実際の交渉や営業にも当たれる商社マンは、とても魅力的な人材です。
役員クラスの好待遇で迎えられることも少なくありません。
また、創業当時の社長が、ある程度会社が大きくなってきたところで、文系の役員(つまり、あなたに!)に社長職を禅譲するようなケースも多いです。(自分は、研究分野に戻る。)
ベンチャーですので、安定性はあまりありませんし、人材も不足がちなので、何でもやらなければなりませんが、役員以上の経営層トップに上り詰める事も夢ではありません。
コンサルタント業
多くの起業家や中小企業が悩んでいるのが、どうやったら売り上げを上げられるのか?利益を上げられるのか?という部分です。
これは当然といえば当然で、普通の会社であれば利益を上げる事が第一目標だからです。
これを落としてしまうと、どんなに技術力があろうとも、どんなによい商材をもっていようと、問答無用で消えて無くなります。
この、「どうやったら売り上げが上がるのか?」「どうやったら利益が出るのか」という事を常に考え、実践しているのが商社マンです。
コンサルタント業は、ある程度経験や実績も必要な職種ではありますが、商社時代に培った経験と実績、人脈は十二分に生かせることでしょう。
最初は、大手のコンサルタント会社で経験と実績を積み、顧客が増えれば、独立開業なども視野に入れる事が可能です。
証券会社、投資銀行
多くの会社との交渉を重ねてきた商社マンは、ある意味会社の目利きでもあります。
会社が今後成長してゆくかどうかは、様々なファクターがあります。
売り上げが上がっているのか?過大な債務を抱えてはいないか?など財務諸表から分かる事もありますが、分からない事も多々あります。
例えば、売り上げが上がっているが営業部門に厳しいノルマを課しているようなケースです。(経営層としてもっとも重要な事は、売るのではなく勝手に売れてゆく状態を作る事にあります!)
また、大きな投資をして新製品を開発したが、それが本当に市場価値があるのか?といったケースです。
こうした事は、財務諸表や会社のホームページを閲覧した程度では出てこない会社のコアな情報になります。
これらの情報収集能力や、会社の将来性を見据える能力に関しては、やはり商社マンは高いスキルを持っていると考えられます。
そうしたスキルは、様々な投資判断やM&Aを行う時などに十二分に発揮される事でしょう。
商社マンが、異業種に転職活動するに当たり、押さえたいポイント
基本的に「商社マン」は交渉のプロですので、転職活動も「自分が商材」と考えれば、それほどハードルが高いと思っている人も少ないかもしれませんね。
ただ、商社マンが異業種に転職する際、あるいは転職活動中にいくつか押さえたいポイントがあります。
それをここでは、紹介したいと思います。
転職エージェントの活用
異業種の場合、現在の会社での人脈や「つて」がある場合、それを利用するのもよいですが、
「転職エージェント」の活用も考えてみましょう。
あなたのやりたい事や、年収などの基本条件を決めて、転職エージェントに面談してみましょう。一番効率的な活動が可能です。
転職エージェントは、転職サイトに登録すれば面談する事ができます。
一度対面で会ってみることをお勧めします。
その際に、何でも不明点は聞いてみるとよいでしょう。
現在の年収アップより将来性を見据える
特にベンチャー企業のような中小企業の場合、役員待遇でも、現在の年収に比べると見劣りするなあ、という場合があるかもしれません。
もちろん、個人個人で事情が異なりますので、一概には言えませんが、特に若い方は将来性に賭けてみるという事でも良いかもしれません。
転職時に与えられる給与は、現在よりも低いかもしれません。
しかし、将来会社が急成長すれば、年収もそれに応じて上がります。
また、部長級(といってもベンチャーだと、部下は1人~2人ぐらいかも)から、取締役、社長への道も夢ではありません。
もし、そのベンチャーの製品(有形・無形問わず)が素晴らしい、将来性があると思ったら、ぜひチャレンジをしてみてはいかがでしょうか?
転職先の会社や製品をリスペクトする
何でも「商材」として扱っていた商社から、それぞれの製造や開発メーカーに転職という場合も多いでしょう。
その際、気をつけて欲しい事は、その会社の風土や製品をリスペクト(尊敬)して欲しいという事です。
もちろん、利益が出るのか?という冷静な視点は必要です。
しかし、それぞれの会社には歴史というものがあり、開発した製品やサービスには並々ならぬ熱意と金額を投資しているかもしれませんし、その会社の風土・体制といったものも、それまでの経営陣の血のにじむ努力があってのものかもしれません。
そういった事に思いを馳せながら、ぜひその会社や製品に尊敬と愛情を持って欲しいと思います。
特に異業種からの転職者は、「その会社になじむか?」が重要なポイントでもあります。
分からない事は、知ったかぶりせずに初心者のつもりで聞くようにしてください。
そうすれば、逆に向こうから売り上げや利益を出す戦略や交渉術について、自然に聞いて来るような雰囲気が醸成される事でしょう。
商社マンが活躍できる異業種はたくさんあります!
いかがでしたか?
「商社」というのは日本独特の業態だと聞いたことがあります。
資源が少ない日本、昔から様々な商材を海外から仕入れ、それを加工し、売るという形は脈々と受け継がれてきました。
それは現在でも変わりませんし、少子高齢化が進んだ現在においては、いかに加工した製品をグローバルに売るかという事も必要になってきました。
これは、どんな業態・業種を問わず日本では避けては通れない道です。
いかに安く原材料を仕入れ、付加価値を付けて、高い利益を出すか?こういった事に長けている商社マンという存在は、これからも日本に必要な人材でありスキルでもあります。
皆様が、様々な会社で活躍されることを願っています!