ブラックIT企業の見分け方5つ

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「ブラック企業」という言葉がすっかり定着しました。

労働条件に関する認識も深まり、ブラック企業の撲滅に社会全体が動いている感じがします。

もともとブラック企業とは、「若者の『使い捨て』が疑われる企業」の通称として認知されたもののようですから、この社会的な動きは大変喜ばしい事です。

とはいえ、ブラック企業が無くなった訳ではありませんし、ブラック企業とは言わないまでも、若い皆さんが悪い労働環境がもとで素晴らしい才能とやる気をすり減らしてしまう事は、とても悲しい事です。

ブラック企業の定義は様々あるようですが、私個人的には、相当曖昧なものだと感じています。

どの会社にもブラック企業を疑われてしまうリスクがありますし、同じ会社の社員の中での感じ方も様々でしょう。

IT企業の場合、製造業などの他の業種と比べて原価における材料費の割合が少なく、人件費が多くなるため、人材が生命線と言われています。

このため、IT企業自体はどこも「我が社は社員を大切にします」とうたっているものです。

労働条件が悪くなる問題の本質は、現場の管理職が労働環境について本気で考え、部下である社員を大切にするためのプロセスを如何に回しているかに係ってきます。

この記事では、IT企業の管理職の立場として、このプロセスをきちんと回せない組織に陥りやすい状況を、ブラック企業の見分け方として、5つ紹介します。

従業員を大切にしている会社を社外から見破るのは、相当困難だと思います。

だからこそ、あなたの周りの環境をよく見てください。

ブラック企業の見分け方というより、あなた自身がその会社に残ってあなたの大切な人生を賭して働き続ける価値のある会社かどうかの見分け方と考えて頂いて問題ありません。

社員に覇気がない会社

かつて、私はあるお客様に、以下の様な言葉をかけて頂いたことがあります。

「(他社の)B社さんのSEさんは皆元気が無く、青白い顔をして声も小さく、つまらなそうに仕事をしています。それに比べ、(我が社の)A社さんのSEさんは、皆さん健康的で元気で良いですね。長くお付き合いしたいと思います。」

一般論ではありますが、まず社員が元気かどうか、これが1つめのポイントです。

社員に覇気がない職場では、社員同士の会話が無い、プライベートの付き合いが無い、仕事の合間の無駄な話が無いと思います。

自分の周りの同僚、先輩の家族構成を知らないという状況も危険ですね。

ITに強いがために、仕事の指示は全てメールやチャットでやり取りされ、隣の社員と声を交わしたことが無いといった、嘘の様な職場も有ります。

仕事のアイデアは雑談から生まれます。

効率化は意見交換から派生します。

そういった自律的なサイクルが生まれない雰囲気の会社は、社員を大切にしているとは言えません。

IT業界の仕事でもチームワークが大切です。

そのチームワークを感じられない職場は危険です。

管理職が自分の仕事ばかりで部下に興味が無い会社

日本のIT企業は、管理職(一般的には課長級)の社員に「プレイングマネージャ」が多いと言われています。

本来なら最優先で対応すべき、部下の労務管理やメンタル面の管理を「忙しい」という理由でおざなりにしている管理職が多いようです。

管理職のレベルになると、当然ながら仕事に関してきちんとした成果を得られるだけの素晴らしいスキルを持っています。

管理職になり、会社から求められるミッションが変わります。

今までの慣れた仕事は部下に任せ、管理職は部下のマネジメントに注力すべきです。

これができない管理職に属する組織は気を付けたほうがよいです。

要員の割り振りの管理も残業の管理も、この管理職は「興味が無い」ので、おざなりになります。

管理職が部下の労務管理をないがしろにしたら、その組織の行く末には、労働環境の悪化が待ち受けています。

例え素晴らしい成果を挙げていたとしても、自分の仕事にばかり一生懸命で、自席に居ることが少なく、部下の相談に乗れないような上司には気を付けましょう。

社員の入れ替わりが激しい会社

社員の入れ替わりが激しい会社も気を付けましょう。

私が特に気にして観察して頂きたいのは、出産・育児休暇後の女性社員が戻ってくる率だと思っています。

失礼な言い方にならないように願いますが、出産・育児休暇後の女性社員の考え方はシビアです。

守るべきものがありますから、厳しい目線で会社の環境を観察し、復帰の判断をしているように思えます。

このため、出産・育児休暇後の女性社員が戻ってくる率が高い職場は、労働環境が良いと言えるでしょう。

出産・育児休暇後の女性社員が復帰して活躍できる土壌のある職場なら、例えあなたが病気をしても安心して戻ってこれる職場のはずです。

労働時間の記録方法が曖昧な会社

4つ目は、労働時間の記録が徹底されているかです。

私は長時間労働の最も良くないパターンが「サービス残業」だと思っています。

サービス残業が行われることにより、正しい労働時間が把握できなくなり、企業の生産性を正しく測る事も出来なくなります。

本気で仕事の生産性を向上し、長時間労働を撲滅しようと考えているのであれば、まずは労働時間の記録、つまり出社時間と退社時間から求められる日々の労働時間の記録を、どれだけ徹底させているかが、非常に大切になります。

タイムカードなり、入退館時間の記録なり、記録の方法は様々だと思いますが、もし勤務時間をきちんと把握できる方法、正しく申告できる方法が採られていないのであれば、あなたの会社が長時間労働を本気で是正しようとしているかは、疑わしい可能性があります。

なお、平成29年1月に厚生労働省は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-06.pdf)を示しています。

これに準ずる形で労働時間の把握ができていないのであれば、ブラック企業と言われても仕方がない状況です。

小さな失敗が許されない会社

最後の1つは、少し分かりにくいかもしれません。

あなたは、職場で「失敗する事を許されて」いますか?

もし、あなたの立場に応じた責任を与えられ、その仕事で失敗をしたとします。

その時、あなたの上司はあなたの失敗を叱るでしょう。

その時が、あなたの上司があなたをどう見ているかを感じる1つの大きなチャンスです。

仕事を任され、責任を与えられ、自分のスキルより難しい事を強いてくる上司は、決して悪い上司ではありません。

その経験は、あなたの上司があなたの成長を願い、あなたに与えた試練かもしれません。

もし、上司に叱られたときに、上司の自分に対する思いを少しでも感じる事ができたのであれば、例え辛くても、あなたはその上司のもとで頑張ってみるべきと思います。

部下の成長を願い、部下に失敗させることは、上司に取ってとても勇気の要る事です。

部下を叱ることは、上司にとっても嫌なことです。

もし「少しくらい失敗しても部下の成長を願ってチャレンジさせよう」という上司の意気込みをを感じられたならば、少々残業が増えたとしても、上司の期待に応えるべく頑張ってみる事をお勧めします。

逆にこの時に上司の愛情を感じられず思いが伝わってこないのであれば、あなたの上司はあなたの成長を促せず、あなたの為にならない上司である可能性があります。

とはいえ、無茶な残業、法や会社の規定を逸脱する長時間労働は禁物です。

あなたの成長を願う上司であれば、その上司はきっとあなたからの相談を待っています。

上司の期待に応えるためにも、上手く進められない時には上司に相談してみましょう。

まとめ

「働き方改革」という言葉は皆さん耳にしていると思います。

働き方改革では、同一労働同一賃金、労働生産性の向上、長時間労働の是正などのテーマが幅広く唱えられているのですが、時間外労働の上限規制で監視・監督が強化されるという話になると、どうしても、時間外労働の削減、長時間労働の撲滅が各社のテーマになりがちです。

ここで「我が社は売上が下がっても良いから長時間労働を撲滅するぞ!」という意気込みを見せるような素晴らしい会社は少なく、どうしても「売上も利益も確保したまま残業を削減せよ!」という無茶な号令がかかります。

ここで、現場の管理職が業務の生産性を向上するために業務の棚卸しをして、無駄を無くして…というように本気で取り組んでくれれば良いのですが、どうしても残業削減の掛け声が先に立ち、それのためにサービス残業を増やしているなんて笑えない話もあります。

私自身も悩める管理職の1人です。

IT企業において労働生産性を向上して長時間労働を是正するというのは、簡単なことではありません。

ですが、これに背を向けて事業運営ができる時代は終わったのでしょう。

労働生産性を向上するには、社員が仕事を好きで、生き生きと仕事をしている状況を作り出すべきという意見もあります。

この記事を読んだ皆さんが、1人でも自分の労働環境について考え、学び、生き生きと仕事をして下さることを切に願います。

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