コンサルタントへの転職をお考えの方は、とても多いのではないでしょうか?
高収入、資格、スマートな仕事というイメージがあり、とても人気の職種です。
ただ、コンサルタントの仕事はそれなりのスキルや適性があり、「こんな方は、コンサルタントへの転職をお勧めしない。」という人を紹介していきたいと思います。
成功体験に縛られる人
こんな感じで、コンサルタント業を考えていないでしょうか?
このような仕事を希望している場合、コンサルタントへの転職はやめた方がよいでしょう。
確かに、コンサルタントは「経験」が大事です。
それをないがしろにする気は毛頭ありません。
多くの成功体験、失敗体験などを通して得られることも多い事でしょう。
しかし、現在あなたが担当している顧客の問題点は、「現状」を冷静に見つめる事でしか得られません。
もちろん、過去の事例からより多くの視点を得られるというメリットはあります。
ただ「昔、こうした方策でうまくいった。今回の会社(人)もこれでいける。」といった短絡的で非論理的な処方箋の出し方は、この業界ではあり得ません。
つまり、過去の成功体験には縛られず、その顧客その顧客の現状を冷静に判断し、客観的な意見を出すことこそ、もっともコンサルティングに求められる資質なのです。
「昔、こうした方策でうまくいった。」みたいな話ができるのは、よほどのお偉いさんや年配のコンサルタントでしょう。
転職を考えている皆さんは、多分20代~40代ぐらいの方が多いかと思いますが、60代にもなる社長や部長級の偉い方々にこのようなプレゼンができるはずもありません。
私たちができるのは、現状の数値や今その会社(人)で起きている事を冷静に見つめ、論理的な構築をした「処方箋」をえがく事なのです。
人の話を聞くことができない人
コンサルタントは、ついつい「上から目線」でアドバイスをしてしまいそうですが、こういった体質(心理的欲求)をお持ちの方は残念ながら、コンサルタントはあまり向いていません。
「人の話を聞く」という事はもちろん単に「情報を得る」という事もあります。
ただ、究極的には「話をしている内に、相談している相手側(顧客)の論点や問題点が(その人の中で)整理され、相手側(顧客)が自然に解決策を導き出せる」事を言います。
もちろん、ここまで行くと「解決策」を出す事が商売であるコンサルタント業は成立しなくなってしまいますが、「人の話を聞く」ということは、本質的にはここまで相手側の自己解決能力を引き出します。
もちろん、余計なアドバイスや意味の無い質問は御法度です。
人は、ついつい根拠のない「アドバイス」を気軽にしがちですが、こうした癖や欲求がある方は、コンサルタント業には向いていません。
論理的積み重ねができない人
これらの作業に必要なのが、数値やデータから問題点や注目点を探し出し、解決策を論理的に構築する力です。
コンサルタントは、顧客が「今の問題点(課題)はここだったのか、よし、提案通り○○を実行しよう!」と思ってもらえなければなりません。(これが顧客満足度100%です。)
そのためには、まず数値や事実(現実)を見せ、そこから論理的に解決策を導き出すのがもっとも基本的でシンプルな方法論です。
こうした論理的思考は、戦略・経営コンサルタントのみならず、それ以外のコンサルタント業でも、非常に重要な要素となります。
プレゼンが下手な人
それは、前述したように解決策が書かれた「処方箋」です。(医学的な意味の処方箋ではありません)
この処方箋は、パワーポイントであったり、「報告書」のような紙の資料である場合や、口頭で「アドバイス」するような場合もある事でしょう。
ただ、どのような場合であれ「他人を納得させられ、かつ具体的な行動が起こせるような前向きなもの」でなければなりません。
そのためには、他人に処方箋を提示する「プレゼン」が上手にできない事には、コンサルタントとしての最終商品が作れないも同然です。
プレゼンがうまくいくためには、いくつかの要素があります。
一つは、これまで集めた様々な情報を集積してまとめ、それを相手に分かるように伝える事です。
もう一つは、他人を納得させられるような倫理的思考と感情をゆさぶる話(文章)術です。
どちらの要素も、プレゼンの方法(口頭発表、報告書)で様々なやり方がありますし、参考書などもたくさんありますので、ぜひ読んでみてください。
1事例として、コンサルタントの「キースライド」というものを紹介します。
これは、100枚を超える膨大な報告書でも、スライド1枚で「すべてを網羅し、わかりやすく、説得力のある処方箋が書いてある」スライドです。
これを、プレゼンの最初に持ってくるのか、最後に持ってくるのかでも、だいぶ雰囲気が違いそうですね。
ぜひ、自分のプレゼンを想定してみて「自分だったらどこにキースライドを持ってくるのか?」考えてみるとよい勉強になります。
人間関係の「あや」が読めない人
ただ、例えばキャリアコンサルタントなどで、いくらこちらが論理的に説明したり説得しても、どうしても納得しない、アドバイスどおり行動しないという場合があります。
これこそが、人間関係の「あや」です。
結局、人間というものはそれほど「論理的」ではないのです。
そこには、様々な秘めた「感情」があります。
そこを無視して論理的に進めてもうまくいかない場合があります。
そして、その普段言葉にできない「感情」というものは、実際の思考や行動を妨げており「頭(論理)では分かっているが、どうしても納得(行動)できない。」という状況を作り出してしまいます。
こうした場合、コンサルタントー顧客もひとつの「人間関係」と捉え、その「人間関係」の中で、顧客の「感情」を理解する事で前に進める事ができます。
こうした方法論は、戦略・人材コンサルタントなどの会社の大きな組織を扱う時にも同様の事が言えます。
組織には組織の言葉にできない「感情」が渦巻いています。
こうした人間関係の「あや」にも敏感でなければ、コンサルタントはうまく行かない事でしょう。
一つ面白い事例があります。
某大手IT企業が「一番組織が生産性良く働ける要素はなんだろうか?」という命題に挑戦しました。
様々な分析を行った結果、最終的には「心理的安全性」という結論に至りました。
「心理的安全性」とは、簡単に言ってしまえば「その組織内で、自分のいいたいこと、やりたい事を自由に発言し、討論し、実行できる環境」の事です。
これは、自分のやりたい事を好き勝手にできるという意味ではなく、少なくとも自分の意見を理解し、共感してもらえるという事を示しています。
これこそがまさに人間関係の「あや」です。
こうした「人間関係のあや」をどのように数値化して、どのようにプレゼンしたのか、またその解決のためにどのような「処方箋」を出したのか、コンサルタントとしては興味の尽きない部分ではないかと思います。
体力が無い人
というのも、多くの仕事は「短期間のプロジェクト」として降りてきます。
例えば、「○○月までに、この会社(組織)の売上げを伸ばすための解決策を提示してください。」という感じです。
当然、締め切りがあるので、締め切り前は会社に寝泊まり、などということはよくあるようです。(もちろん、そうでない会社もあるかもしれませんが)
基本的にはこうした短期間のプロジェクトの積み重ねでできているコンサルティング会社は、やはり締め切り前は非常に忙しくなる、と考えてもよいと思います。
常に残業続きというわけではありませんが、いざというときは徹夜してでも仕上げる、というような気概や体力はあった方がよいでしょう。
また、ヒアリングをするために、顧客先に外出する場合も多いようです。
外出や出張に慣れている人の方が適性があります。
精神的ストレスに弱い人
ただ、意外に泥臭いというか、かなりの精神的ストレス下に置かれるケースもあります。
まずコンサルタントに依頼する時はどういった場合でしょうか?
当然何かしらの理由でうまくいっていない会社や部署ということになるでしょう。
組織というものは、大小どんなものであれ、部外者を嫌がります。
自分たちが築いてきた努力の成果について、外から勝手にああでもない、こうでもないと批評され、なおかつその意見は、今後の自分たちの進退に多大な影響を及ぼすかもしれない・・・と考えたらどうでしょうか?
ヒアリング時に、ふくれっ面している人が多くてもしょうがない所ではないでしょうか?
実際問題として「リストラ策断行のために、第三者(コンサルタント)に入ってもらい、客観的意見として、リストラ削減を提示してもらう。」というような使い方があるようです。
こうした場合の、調査ヒアリングや最終プレゼン(社員に対しての)は当然のごとく、怒号が飛び交うかもしれません。
そうしたケースも想定して、タフな精神力を養う事も必要になってくるでしょう。
「自分はそういった修羅場をくぐり抜けられるだろうか?」ということは、ぜひ自問自答してみましょう。
コンサルタントは意外に大変!自分の適性をもう一度確認してみよう
泥臭く、人間の感情のドロドロした部分にも触れなくてはいけません。
様々な適性や能力はこれまで話をした通りですが、一番陥りやすいのは、上から目線で人にアドバイスをしてしまう事です。
そのようなコンサルタントは、決して顧客の満足を得る事ができません。
相手を理解し、共感する事が一番その人の生産性(自己解決能力)を推進する事ができます。
その事が分かってさえいれば、コンサルタント業も恐れるに足りません。
コンサルタントは、冷静な第三者としての視点と、顧客の感情を理解し共感する能力どちらも持ち合わせている方が、最も適性があるといえるでしょう。
皆さんも、ぜひもう一度自分の適性を確認してみましょう。